近年、ディープラーニングの技術の進展によるAI技術への社会的期待が高まっています。
また、企業のデジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXの必要性も広く認知されるようになってきており、デジタルトランスフォーメーション施策の一つとして、AIの導入を検討する企業も増えてきています。
このようにAIの利用が業務においてより身近になるにつれて、AI技術を自らの仕事に絡める必要が出てくる人も増えてくると思います。
本記事では、プロジェクトマネジメントにおけるAI技術との関わり方について紹介します。
AIプロジェクトと従来型プロジェクトの違い
AIプロジェクトを語るうえで、まず確認しなければならないことは、使用するAI技術です。
AIを使用しているとアピールしているものの中には、マーケティング目的のために単なるルールベースのアルゴリズムを使用しているものをAIと呼称している場合もあります。使用しているAIのレベルがどのようなものなのかをまず確認しましょう。
AIのレベルについては、こちらのITmediaの記事がわかりやすいです。
レベル3や4のAIを使用したプロジェクトに取り組む場合、従来型プロジェクトとの最大の違いは、予測性が低いことです。
従来型プロジェクトは、一般的に使用するフレームワークやロジックがしっかりしていれば必要な作業があらかじめわかり計画が立てやすいものでした。そして実装したものを積み上げて、成果物を完成させます。
一方でAIプロジェクトは、あらかじめ必要な作業をこなして積み上げても、成果物として完成しない場合があります。はじめに想定した手法で機械学習を行っても、必要な精度が出ないといった結果になった場合です。機械学習を行わせる際のパラメータを見直して精度を高めることで期待する精度まで高められる場合もありますが、どうしてもそこまでの精度にならない場合には、手法を見直して再度実装しなおすといったこともあり得ます。
このようなAIプロジェクトの特徴から、AIを利活用する場合にはアジャイルなプロジェクトの進め方を採用するのが一般的です。小さな実装サイクルを回して、期待通りの結果が出そうであることを随時確認しながらプロジェクトを進めることで、プロジェクト最終局面で破綻する危険性を最小限に保ちます。
ただ、AIプロジェクトに関しては従来型プロジェクトに比べて事例数が少なく、ベストプラクティスと呼ばれるほどの方法論はまだ確立していません。今後研究が進み、ベストプラクティスやPMBOKなどの体系的なナレッジとしての情報確立が進むことを期待したいです。
AIプロジェクトに関する取り組み
PMIの取り組み
PMBOKを取りまとめ、PMP試験を実施しているPMIでは、日本支部でAI@WORKという取り組みを開始しています。
まだ活動状況はアナウンスされていませんが、2020年7月のフォーラムで発表があるようなので、内容に期待したいです。
その他の取り組み
一般社団法人新技術応用推進基盤では、2020年春より人工知能プロジェクトマネージャー試験を開始する予定です。
90分間のCBT(コンピュータによる試験)、指定の会場で受験する方式のようです。
AIの学習方法
AIプロジェクトを実施するうえで、プロジェクトマネジメントだけではなくAIとは何かについても押さえておく必要があります。詳細まで知る必要まではないですが、機械学習エンジニアと会話が成立する程度には理解しておきましょう。
おすすめは、書籍を読みながら一通りディープラーニングを学ぶことです。筆者はこちらの本を一通り手を動かしながら学習しました。
ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装
この本は好評なようで、ゼロから作るDeep Learning 2も発売されています。
ゼロから作るDeep Learning ❷ ―自然言語処理編
また、 ディープラーニング協会が主催するG検定の参考書を読むのも効率よく学習することができるでしょう。
また、書籍での学習は難しいという方には、e-Learningがおすすめです。下記のコースはUdemyで日本語で提供されるコースの中で最も評価が高いです。(2020年2月現在)
【キカガク流】人工知能・機械学習 脱ブラックボックス講座 - 初級編 -
【キカガク流】人工知能・機械学習 脱ブラックボックス講座 - 中級編 -
さいごに
ディープラーニングをはじめとするAI技術は未来を大きく切り開いていくものになると思います。そのAI技術を用いるプロジェクトを成功に導くために、本記事が役に立つと幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。