PMP試験に合格するには、PMBOKの読み込みが必要です。PMBOKの分量は多く、PDF版で995ページもあります。
すべてに目を通す必要があるわけではないですが、それでも合格に必要な知識を得るにはかなりの時間をこのPMBOK読み込みに使うことになります。
そんな中、PMBOK外で、しかも分量の少ない、PMP出題範囲があります。
それがCode of Ethicsです。
本記事では、Code of Ethicsについて解説します。
Code of Ethicsとは?
Code of Ethicsは、日本語では
倫理・職務規定
と訳されています。
その名の通り、プロジェクトマネジメントの実務者としての職業倫理について述べている文書になります。
Code of Ethicsの入手法
Code of Ethicsは、PMBOKと異なり、PMIの会員でなくても誰でも入手することができます。
これは、Code of Ethicの対象となるのがPMP有資格者のみならず、すべてのPMI会員と、PMI会員ではなくてもPMP等のPMI資格を保持していたりこれから受験する人に対しても適用されるためと考えられます。
Code of Ethicsは、こちらの米PMIウェブサイトからダウンロードすることができます。日本語版のダウンロードも可能です。
https://www.pmi.org/about/ethics/code
Code of Ethicsのキーとなる考え方
必須基準と理想基準
Code of Ethicsに記載されている行動は、必須基準と理想基準に分類できます。
必須基準とは、確固とした要件が定義されており、実務者が必ず順守しなければいけない基準になります。必須基準の違反は、PMIによる懲戒の対象となります。
理想基準は、実務者として守るべき努力する行動です。必須基準のように厳格な要件が定められているわけではないですが、基準に沿った行動が求められます。守らなくてもよい(自由裁量)わけではないので注意しましょう。
なお、必須基準と理想基準は互いに独立したものではないので、ある1つの行動が必須基準と理想基準の両方を満たすという可能性もあります。
4つの価値観
Code of Ethicsを構成する4つの価値観は、
- 責任
- 尊重
- 公正
- 誠実
です。
これらの価値観をもとに、実務者としての意思決定および行動指針を決定します。
Code of EthicsをPMP試験の得点源にするために
PMP試験での倫理問題の考え方
PMP試験を受験する方の多くは、プロジェクトマネージャーとして実務でさまざまな判断をし、プロジェクトを成功に導いた経験があると思います。
PMP試験の各種ケース問題も、自身の経験をもとに選択肢を選べば正解になることも多いです。
しかし、PMP試験の倫理問題でも同じように経験で答えを選択すると、往々にして不正解になることがあります。
日本の商習慣上とりうる選択と、PMIの考える正しい選択は異なる場合があり、PMP試験においての正解は後者になります。
Code of Ethicsを読んで、「PMIの考える正しい選択基準」を把握しておくことが重要になります。
特に、プロジェクト中に問題の目が見つかったときの次のアクションを選ぶような問題は要注意です。
実務において、問題の目が見つかった場合、問題がリカバリーできそうかを判断した上で顧客への報告をするか決めた経験を持っている人がいると思いますが、
Code of Ethicsでは、
5.2.3 私たちは、正しい情報をタイムリーに提供します。
という理想基準があるため、問題の存在が確実な場合にはすぐに顧客への報告をすることが正解になります。
他にも、
- グローバルプロジェクトで多国籍のメンバーがいて何らかの問題がある場合は、問題に対処する前に文化的背景を理解する努力をすること
- 利益相反の可能性がある行動はせずに、客観的に見て潔白になる選択をすること(ただ利益相反の可能性がある旨を上司に伝えるのではなく、その行動を回避する)
といった考え方のもと正しい選択肢を選ぶようにします。
こうした「PMIの考える正しい選択基準」をしっかり理解することがPMPでの得点につながります。
試験直前でも得点力アップ
Code of Ethicsはたった8ページの資料にも関わらず、PMP試験では10問以上出題されていたように思います。
10/200問 = 5%の分量が8ページ読むだけでカバーできるというのは、995ページあるPMBOKに比べると圧倒的に労力に対する効率が良いです。
試験直前でもこの領域はマスターできると思いますので、ぜひ目を通してから試験に臨んでください。
https://www.pmi.org/about/ethics/code
最後に
本記事ではPMPでの得点化の観点でCode of Ethicsを紹介しましたが、
実務でもCode of Ethicsを把握しておくことで、知らず知らずのうちに不正に加担してしまうことを回避できます。
筆者の在籍したことのある外資系IT2社ではどちらも年1回の職業倫理のリフレッシュトレーニングの受講が義務付けられていました。
同僚や顧客の信頼獲得にもつながりますので、PMP試験をきっかけに職業倫理への意識付けを職場に広げていくことができたらと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。